小売における進化論
- 2020年6月11日
- By Kevin Swanwick
COVID-19のパンデミックは、予期せぬ事態を招きました。その影響は、今後も長期的に続くことでしょう。今、小売の世界では、誰もが貴重な学習体験をしているところです。そんな中、現時点での重要点は、次に要約することができます:
適応能力とは今や必要不可欠な、生きるために必要な特質である。
テクノロジーが、進化する消費者行動をいかに補助する役割を果たしているかを考えてみましょう。顧客の購入過程は複雑なため、需要の発生源がどこだったのかは、見えなくなってしまいがちです。しかもブランドの影響力は、最低でもソーシャルプラットフォームやEコマース、そして店舗でのインタラクションの間を移動します。また、若いデジタルネイティブな世代の買い物客との顧客エンゲージメントでは、より広範囲でシームレスなアプローチが商取引やサービスでも必要になります。購買過程は、それぞれの買い物客によって異なっているわけです。そこで、ブランドがテクノロジーを使ってどこまで顧客の期待に答えられるかが、この進化過程の中心になります。そしてそれができることこそ、直接的に生き残るかどうかに影響するのです。
新しい消費者のための新しいテクノロジー
パンデミック前でも、Y世代の購買客が市場に急速に参入してくる事で、消費者行動はすでに加速度的に変わりつつありました。これは何度も議論されていることであり、そして小売業に従事するほぼすべての企業がこういった変化に対応するための努力をしてきています。在庫可用性やサービス度の高い販売、そして迅速な受注処理などに対する新しい欲求は、すでに必要不可欠なものとして台頭してきていました。そういったことに対応するのは当たり前になっていました。こうした傾向は、パンデミックによりさらに加速化したのです。
従来のクライアントサーバーの方式よりも、クラウドネイティブなテクノロジーと目的に合わせた専用のバージョンレスなアプリケーションのほうが、俊敏性があることが証明されています。これにはいくつかの理由があります。そのひとつは、ビジネス機能がマイクロサービスに分離される事です。これが構築されていれば、これらのコンポーネントをその場で更新することで、ダウンタイムなく本番環境に組み込むことができます。これにより、新しい機能を追加するためのイノベーションのペースが劇的に短縮されました。
それに加えて、「目的に合わせた専用の」と言う側面があります。マンハッタンでは、店舗やEコマース、コンタクトセンター、そして顧客用セルフサービスに至るまで、統一されたオムニチャネルのアプリケーション群を提供できるよう、ここ数年多大な努力と費やして参りました。そして革新的な小売業者からは、消費者と積極的に関わり、そしてその関係を保ち続けるには、消費者との双方向のデジタルコミュニケーションと、ブランド相互作用に関する共通した見解が大切であることを学びました。更新された人口統計レポートによると、今日のブランドは、経験豊富なデジタルネイティブの買い物客を獲得していることがわかります。
小売業者でManhattan Active™ Omniソリューションを導入したところは、オンライン購入+店内受取り(BOPIS)や、店舗から発送、またはオンラインで購入+店舗に返品など、急速に増加する需要形態に迅速に適応することができています。同時に、需要に対する在庫を最適化し、また最も利益があり効率の良いソーシングのロケーションを確実に利用することができるようになっています。このリアルタイムの意思決定は、Manhattan ActiveのAdaptive Network Fulfillment(ANF)のアルゴリズムにより可能になっています。実は背後に、高度な科学が使われているのです。
これら小売業者は、今どうなっているでしょうか?クラウドネイティブなテクノロジーにより、どのように適応できているでしょうか?その効果はどの程度でしょうか?将来はどうなるのでしょうか?
段階的な店舗再開プロセス
そうした質問に答える前に、従来の方式の実店舗での再開の状況を見てみましょう。これには、3つの個別ステージが見られます。これらは地理的な違いを除き、同じ順序になっています。それは以下の通りです:
- 第1ステージ:「ダークサイト」の店舗。小売業者は、オンラインで注文された顧客注文のフルフィルメントを行うため、各地域のソーシャルディスタンス規制に従って閉鎖された店舗に店長を安全に送り込みます。その背後では、Manhattan Active Available to Commerce (ATC)システムが、どの店舗在庫をフルフィルメントに利用させるかを決定しています。
特定の注文を発送するのに最も利益のあるロケーションはどこなのかは、Adaptive Network Fulfillmentを使って判断されます。これにより、小売業者は例えば3月のイースターの前に配達された春物の商品を、より効率よく動かすことができています。従業員は、安全プロトコルに従って注文を集品そして荷造りし、標準的な配送インテグレーションを使って発送します。その結果、店舗は春物の在庫を最適な方法で動かし、ひいては顧客の需要を満たし、社員の仕事を守りながら売上を確保することができるのです。
このアプローチを用いて、PacSun/Eddie Bauer社は、パンデミックの発生当初の店舗在庫を活用し、毎週平均12万件の注文を発送して、生産的な労働力を維持することができました。失った機会として春シーズンを損失扱いするのではなく、この代替的な方法を使って、同時に在庫も動かすことができたのです。
- 第2ステージ:店舗前での商品受取り。この時点では店舗はまだ完全に一般に開放されておらず、安全プロトコルに準じた限定的な形でサービスを提供します。顧客はオンラインで注文を入れ、車で最寄りの店舗まで行くと、そこで車のトランクに安全に商品を積み込むことができるようになっています。これは、どのようにして実現しているのでしょうか?ここで小売業者はManhattan 店舗注文フルフィルメントを使っており、そしてそこに顧客が店舗前受取りを選択したと想定します。
顧客はオンラインで注文を入れ、最寄りの店舗前での受け取りを選択しました。すると、顧客には注文確認のメールが届きます。そこには、Manhattan Self-Serviceアプリケーションへのリンクが掲載されているため、店舗前に到着したらそのアプリを使うことで、それが店舗に伝わります。今度は、顧客の車のメーカーとモデルを入力するよう促されます。また同時に、安全プロトコル順守のお願いと、「今ご用意しています!」のメッセージも流されます。そうしていると、店舗スタッフが注文の品をもって車まで現れます。顧客は品物を受け取り、安心して家路に着くのです。
マンハッタンの導入顧客の多くが、このようにして店舗前受取りを導入し、驚くほどの成功を収めています。例えばKendra Scott社では、オンライン注文+店舗前受け取りを活用することで、母の日シーズンの売上記録を更新させることができたほどです。しかもこの数字は、従来のすべての店舗が開店している状態での売上を基準にしたものなのです。
- 第3ステージ:店舗の一般開放。店舗が開店しても、しばらくはモールや店舗自身などにより、人の流れは制限されます。そういった場合でも、マンハッタンなら多様な方法で適応することができます。まず、Manhattan Point of Sale (POS)なら非接触型の決済が活用できます。欧州地域ではリンク型決済が導入されていますが、この方法はまだ米国では広く受け入れられていません。もっとも、今後広まればフランスの大手高級グループのために欧州地域にて提供しているのと同様、米国でもサポートを提供することができます。次に、Manhattan Active 顧客エンゲージメントを使えば、顧客の予約のスケジューリングや追跡ができるほか、店舗スタッフにそのミーティングの準備をさせることもできます。これは、それが遠隔であっても、見て購入する場合であっても、またはソーシャルディスタンスを保ちながら通常の店舗内でショッピングする場合であっても、対応できるようになっています。
このような新しいショッピング体験の中には、一度確立されたショップローカルの交流のためのものもあり、今後も継続していく可能性が高いと思われます。継続させない理由がないからです。店員がコンタクトセンターとシームレスに連携して顧客に最善の購入経験を提供しながら、同時にメールやSMSのテキストメッセージ、統合されたソーシャルのメッセージングなど、顧客が好む方法で連絡を取り、そして予約を完了できるようになるのであれば、それをしない理由はありません。顧客エンゲージメントがオプトイン方式で定着すれば、店舗・店員はより良いブランドアンバサダーになれるだけでなく、知識豊かな買い物客と、関係もそして状態も維持することができるようになれるのです。
現在、そして将来に備える
今後パンデミック時の制約から小売業者が解放されていっても、顧客の行動は、少なくともすべての局面で平常時の状態に戻ると期待すべきではありません。Manhattan POSは、COVID-19が発生するずっと前から、適応性を考慮して構築されました。その導入顧客の多くは、さまざまな店舗形態で営業しています。例えば全商品を揃えた店舗、アウトレットや旗艦店、コンセプトストア、または期間限定店舗などです。固定やモバイルを問わず、そしてさまざまなフォームファクターや複数オペレーティングシステムでも単一のバージョンのクラウドネイティブなアプリケーションのソフトウェアとして実行されるため、素早く展開することができます。これは非常に重要なことです。
今後、もし小売業が長期的なソーシャルディスタンスの状況下になった場合、どんな店舗形態が理想でしょうか?非接触の臨時店舗でしょうか?屋外配送でしょうか?私たちマンハッタンの視点からは、それはお客様が必要に応じて素早く決められるようにしておきたいと考えています。
テクノロジーは障壁ではなく、可能性を広げるものであるべきだからです。
マンハッタンのテクノロジーなら、現場の状況に応じて意思決定できるという安心感が生まれます。適者生存は、環境条件の変化に適応する種の能力によって常に測定されてきました。この激動の時代を生きていく上で、適切なテクノロジーの遺伝子を持つことこそ、大きな違いを生み出すのです。
近日中に、さらに最新情報をお届けします。それまでは、マンハッタンがどのようにお役に立てるか、是非ご相談ください。お客様とのパートナーシップこそ、何よりも重要であると私たちは考えています。